合田隆実(昭和32年卒)
ドイツで仕事に携わった記念碑に
ドイツの自宅、レストラン等を訪れるたびに、年代物の家具、調度品の数々に驚かされる。このタンスは、ひいおばあちゃんが、我が家に嫁いできた時、持参のもの、等々、使い捨ての時代の現在、我が国の状況とは、いささか趣が異なる。
1991年、当マンションを購入、越してきた。ドイツに関わりのある仕事をした証に、何かドイツ製のものを購入、末永く使いたい。そんな思いで、テーブルと、椅子セットを注文した。ドイツでは、製作品はなく、製品は、高層ビルの下から上まで、サンプル品が並んでいる。お客様はそのサンプル品を見てオーダーをする、そんなシステムである。自分も南のミュンヘンの一番大きな家具屋さんに連れてゆかれ、品定めをして注文をした。届いた製品を見て驚いた。椅子の一本、一本にまで丁寧に布を巻き付け、大テーブルは、頑丈な梱包にて、万全である。値段はそこそこのものであり、保険と、船賃で製品をはるかに超えた記憶がある。注文して10ケ月あまり、品物は届いた。材料は桜の本でできたものであり、今だにびくともしない。飛び乗っても、飛び跳ねても、びくともしない代物、地震の時は、テーブルの下にもぐれと、当時小さかった孫二人に言い聞かせたものである。
あれから30年余り、今だに当時のままに輝いている。ドイツ製は素晴らしい。我が家の唯一の宝物である。
*記事掲載:2024年10月12日
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