合田隆実(昭和32年卒)
ドイツ人の食事マナー
1980年代初め、はじめてのドイツ出張、その際ドイツの食事の際の注意事項を先輩に聞いた。
気を付けることはただ一つ、スープやコーヒーを日本人みたいに音を立てて、すすらない。つい忘れてコーヒーを音を立ててすすると、周りの客の冷たい視線を肌で感じる。後はガチャガチャ音を立てるナイフやフォーク、鼻をかむ、おならをする、何ら構わない。ただゲップは嫌われる。世界それぞれの風習があり、面白いものである。なるほどドイツの言葉に、此のすするとゆう単語はないらしい。スープはかんで食するとゆう。ドイツの機械メーカー社員、据付のため技術員が来日する。短くて20日間、長くて2ヶ月に及ぶ。現場でこの人達のお世話をするのも、自分の仕事の一つ。ドイツ人はじめ外人はおしなべて、日本のラーメンが好き、困ったことに、麺をすすらない。1本、1本なれない箸で噛みながら食べる。これには時間がかかる。早く部屋に帰り休みたい自分はイライラする。
当時飛行機に時間がかかる、家族と離れ離れの単身生活、日本の出張を喜ばない。来日した技術員に2組ほど離婚した人がいた。ただお金になる。金のために我慢できる人は、辛抱する。他のドイツ人曰く、お嫁さんを長い間ほっといて、それは仕方がない、お前が悪い、と言われる。日本人みたいに仕事のため、単身赴任が多いこと、感覚が全く違う。このお二人とも、家に帰ったら、家はもぬけの殻、お嫁さんはいなかった。日本に長期出張を喜ぶ社員は、ますますいない。そんな時代でした。でも今は違う、日本の法人設立、日本人技術員が対応可能になり、世の中万々歳。新しい時代の到来となった次第です。
(写真:期間限定〈5月~6月25日〉の季節料理シュパーゲル(白アスパラガス))
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