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「コラム」 世界ぶらり旅(第11回)

合田隆実(昭和32年卒)



世界で一番大切なもの


 南ドイツ、いわゆるロマンチック街道の中程に、中世そのままに残る観光地、デインケルスビュールとゆう人口1万人の小さな街がある。おとぎの国の中にいるような可愛いらしい街は、歩いていて夢の中の景色、カラフルな木組みの建物、どの家にも季節の花が、各階ごとに軒並み飾られ、整然と並んだ街並み、見る人を楽しませる。そんな街で、食事にあるレストランに招待された。キャッシャーの横に、郵便受けくらいの目立った箱があり、仰々しく大きな鍵かかかっている。箱の表面に、ドイツ人通訳によれば、この箱は店主の許可なく、開けること厳禁、世界で一番大切なもの、が入っているとの由、店の人に聞いても決して答えない、店主に聞けの一点張り、帰り際、再度頼むと、遠路はるばるの日本の方のために、特別にお開けしましょう、大きな鍵でついに開けていただく。興味津々、さあ開けてくれた。何だと思います?箱の中には何もなく、ただ鏡が表面に貼り付けているだけ、そうなんです。世界で一番大切なのは、写っている貴方、お客様でいらっしゃるあなた様なのです。これには感心致しました。これもおもてなしの一環ですね。外に出るとマントを羽織ったボランティアの方の夜回り、小さいライトを照らし、観光客のお手伝い、こんな心使いにも感服致した次第。ドイツの夜は楽しい。


(写真コメント:デインケルスビュールの街並み)


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