門田睦雄(昭和40年卒)
JR大阪駅
この連続エッセイの対象は、今住んでいる東京及びその周辺が当然多いのですが、地元福岡がそれに次ぎます。そして今回初めて大阪に乗り込みます。
鉄道の大阪の玄関と言えば、新幹線の停まる新大阪駅なのかもしれませんが、日常生活での玄関はやはりJR大阪駅でしょう。この地域は大阪では「キタ」と呼ばれ、難波中心の「ミナミ」と双極をなしています。その「キタ」には阪急「梅田」、阪神「梅田」、の二つの私鉄ターミナル駅もあり、京阪電車もやや離れた淀屋橋が起点です。しかしJR大阪駅はその乗り入れ路線の多さで王者です。
この地区の私鉄各線の駅はいわゆる終着駅で、独特の雰囲気があって好きですが、JR大阪駅は通過駅で、あの独特の雰囲気は創り出せません。にもかかわらず、駅内外に圧倒的存在感を示しています。それは全ての乗り入れ線のホームを巨大な屋根で覆って、一つの駅としてまとめ上げているからです。そして、線路の南側と北側とを結ぶ大きな跨線橋の役割も果たしており、この点では全国どこにもないスーパースケールの駅なのです。
JR大阪駅 南側からの外観 巨大な屋根が全ホームを覆う。
階構成は下から、1階が旧来からの改札・コンコース・通路、2階が線路・ホーム、3階が南北横断通路と改札、4階がパブリックフロア、そしてその上に巨大屋根が架かっています。屋根のスパン(架構長さ)は建築のスケールを超えて、橋を思わせる土木スケールといって良いでしょう。
(左)2階のホーム階 1階コンコース及び3階通路からアクセスできる。
(右)3階より各ホームを上から覗く。強風雨時には雨が降りこむので、ホームにはガラス屋根が架かる。
(左)3階の南北通路階(階段の両側)。 正面階段は4階パブリックフロアへ向かう。
(右) 4階パブリックフロア。 広く、展示会などのイベントも開けそう。
これに匹敵するものを考えてみましたが、東京駅はホームそれぞれに屋根が架かっていて一体感がありません。品川駅や最近出来た高輪ゲートウェー駅、は大きく覆われていますが、これにはかないません。京都駅も巨大ですが、線路やホームを屋根が覆っている感じではありません。そして、大きなものは細やかなところにまで神経が回らないと言われますが、ここはそれぞれの空間が、荒っぽさを感じさせません。JR大阪駅はまさに日本の誇る駅舎と言えるでしょう。
鉄道には、線路でその両側を分断してしまうという宿命があります。特に何本もの線路が通るとその分断は決定的なものになります。JR大阪駅もかってはこの典型的な例でした。それが、北ヤードと呼ばれて寂しかった貨物駅跡地を、「うめきた」として開発し、魅力的な都市エリアにする計画が進んでいます。既に第1期の「グラン・フロント」は完成し、来春には大規模な都市公園を中核とした「グラン・グリーン」もオープンします。この両者は日本を代表する都市エリアとなるはずです。そして駅の両側を日本のどこにもないスケールで連結するのがJR大阪駅なのです。大阪に行った際は、そういう都市スケールでの画期的な駅を、是非体験して下さい。
(左)4階パブリックフロア階から、北側「うめきた グラン・フロント」側出口を望む。
(右)駅の北側入り口、2階レベルは、そのまま「グラン・フロント」に繋がる。
以上
*記事掲載:2024年12月7日
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