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「コラム」 世界ぶらり旅(第9回)

合田隆実(昭和32年卒)



島中が真っ白、ホテルも真っ白、頭の中まで真っ白


 2004年開催のギリシャ、アテネオリンピックを翌年に控え、アテネの街はひっくり返っていた。仕事の帰り、憧れのエーゲ海をぜひとの思いから、3泊4日の旅を計画した。ホテルにて、現地の観光ツアーは、現地語以外にないことが分かった。観光地を巡り、確実にホテルまで送り届けてくれる、高いタクシーツアーを諦め、現地語ツアーに参加した。ギリシャ語の中に混じり、一人だけ、寂しい思いの観光であった。観光地ではツアコンが説明をする。ツアー客がその説明に、時々爆笑する。意味の分からない自分は、観光案内「地球の歩き方」片手に必死で案内人の言葉を捜す。遅れて笑いがこみ上げるが、がまん、がまん。これぞ言葉の通じない悲しさの最たるものである。

 真っ青な静かなエーゲ海、澄み渡った空、浮かぶミコノス島、快適な船上にての数時間、至福の時間である。数十人の乗客に日本人ご夫婦連れが一組、ビールをご馳走になった。船内の案内、英語、ギリシャ語、ドイツ語に続き、日本語もあり、様子がよく解る。ミコノス島の船着き場、物売りのおじさんから、たこの丸焼きを買い求め、それを肴に又ビール。この海でとれた、小さめのたこ、なんと新鮮でうまいのか、忘れられない。ホテルにチェックイン、建物も、部屋の中も、壁も調度品もすべて真っ白、島全体が真っ白、頭の中も真っ白、これには参った。初日その白さに寝付けず、夜中に何度でも目を覚ます。翌日はホテル前の海水浴場、ヨーロッパの妙齢相手に、楽しい時間、翌日は何とか眠りにつけた。アテネでの最後の夜、街の歓楽街、若者と一緒に盛り上がった楽しい記憶がよみがえる。一人旅はさみしいが、こんな楽しさもある。あれからもう5回目のオリンピックが終わった。



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