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「コラム」 私のおすすめ空間(第3回)

門田睦雄(昭和40年卒)


聖路加国際病院

<私のおすすめ空間>第3回は、聖路加国際病院です。もちろん明治時代からあるチャペルを持つ国際的な病院、また全室個室の先進的病院としても有名ですが、ここにはそのほかに二つの見所があります。一つは、建物の前に公開空地として創られた小径で、もう一つは、病院の奥に立つ、オフィスとレジデンスの二つの超高層棟からなる聖路加ガーデンの足元のロビーです。


■公開空地の小径

 最寄り駅の東京メトロ築地駅側から近づくと、先ず今は看護大学として使われている旧館とその前庭が見えてきます。歩道と前庭の間に作られたのがこの小径で、少し蛇行していて一部にベンチも置かれ、歩道との間の小さな樹林帯は何とも言えぬリズム感があります。ここから病院の芝の広場も覗けて、ちょっとした都心の緑地となっています。歩行者は並行する歩道と小径のどちらを通っても良いのですが、忙しい中でも、やや遠回りになる小径を選ぶ人もかなりいます。歩行者を楽しくするこの空間は、まさに公開空地の一つの在り方を示しています。

 ここを過ぎると病院に入る人が大多数ですが、公開空地は更に続いて、病院横を通って聖路加タワーに至ります。こちらには病院の待合室からも見える、水の溢れ落ちる池が横にあり、水浴びに来る小鳥を眺められるかもしれません。


公開空地の小径は、歩道と遊歩道が一体となって、通行人の目を楽しませる。


■聖路加タワーロビー

 病院を奥に抜けると道路を挟んで向かいに、オフィス棟とレジデンス塔の二つの超高層棟が建ち、これが聖路加ガーデンで、上部は空中歩廊で繋がれています。そのロビーは2棟の足元を結ぶ形で創られ、斜めのガラス屋根が架かった明るく、広い空間で、「大屋根広場」と呼ばれています。向こう側は屋外テラスを経てそのまま隅田川の遊歩道に繋がり、自然の中の溜まり場という雰囲気です。

 オフィス勤務者、レジデンスの住人の他、病院の来院者を含め誰でも入れます。比較的すいているので私も時々使いますが、昼休みにはお弁当を食べたり、読書や昼寝をしたりする人で椅子は満杯になります。しかし椅子の数が限られているので、ゆったりした感じが漂っています。おおらかな空間というのはこういう場所なのでしょう。


大屋根広場はガラス屋根から明るい光が差し込み、屋外の様子も見渡せる。

大屋根広場には外の樹木を見ながら心地よい午睡をする人も。右は隅田川側から望む大屋根広場のガラス屋根。

隅田川の遊歩道。


以上

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