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「コラム」 私のおすすめ空間(第2回)

門田睦雄(昭和40年卒)


東京メトロ銀座線・渋谷駅

<私のおすすめ空間>第2回は、新装なった東京メトロ銀座線・渋谷駅です。


■街のシンボルに変身

 駅はその街のシンボルであることが多いけれど、元の地下鉄銀座線・渋谷駅は、東横デパートの3階に間借りしたような駅で、ホームも狭く、周辺の見通しもなく、渋谷のシンボルとは思われていませんでした。それが、百年に一度という渋谷大改造の一環として、2020年1月に現在の位置に新設移転され、状況は一新されました。

 先ず地下鉄にも関わらず空中駅です。表参道では地下ですが、そのまま水平に来ると渋谷では地上に出るのです。地形を最大限利用した建物は街を印象付け、正に谷の街・渋谷のシンボルです。

ヒカリエとスクランブルスクエアの間に架け渡された銀座線・渋谷駅

周辺の仮設物がなくなれば、すっきりした姿が現れるだろう。


■柱のないホーム

 一般的なホームでは中央に柱があるけれど、ここではそれが無く広々としていて、利用者にとても使いやすくなっています。これを実現させたのが、メトロのMを思わせる形の梁で、ロングスパンに架け渡され、歩く方向に次々にMの字が現れるようにデザインされています。

 このような魅力的な地下鉄の駅としては、大阪の御堂筋線の各駅が、ホームと線路を含む大断面のトンネルとなっていて、魅力的ですが、これについては別の機会に紹介しましょう。

M形の梁で大スパン飛ばしているので、ホームには柱が無い。


■終着駅の雰囲気

 次にホームが一つではあるものの頭端式(とうたん式)になっていて、終着駅の雰囲気があります。頭端式は終着駅のホームの形式で、ローマのテルミニ駅をはじめとする海外の大きな駅、国内では上野駅の一部、大阪の阪急・梅田駅、近鉄・難波駅、故郷ではJR・門司港駅がそうです。いずれも大空間を覆う大屋根をかけることが多く、魅力的空間が出現します。

 通常は頭端の反対側は出入口に遠くて不便なのですが、この駅が先進的なのは、反対側にも階段があって上部に出られ、ヒカリエ側のアーバンコアにつながるのです。アーバンコアとは、色々なレベルに位置する各交通機関を魅力的につなぐ垂直動線のことで、谷の街・渋谷に最適です。

アーバンコア いろいろなレベルの交通機関を縦に繋ぐ仕掛け。


■渋谷は未だ仮設状態

「渋谷はいつも工事中で、交通機関が分かり難くなった。」との声をよく聞きますが、これは現在都市規模の大改造が行われている最中だからで、「今は仮設状態」との認識が必要です。今回の東京メトロ銀座線の移設や、曲がっていて危険だったJR渋谷駅のホームの改修など確実に良い方向に向かっており、すべて完成すれば便利で素敵な街になります。これらの空間を、今のうちに是非体験するようお勧めします。完成時には、「あの時はこうだった」と建設中の体験を披歴できますよ。


以上

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