合田隆実(昭和32年卒)
とんがり屋根の家、アルベロベッロ
イタリア南部、とんがり屋根の軒を連ねる世界遺産の街、アルベロベッロを1990年代に訪問した。中心ローマからバスで5時間余りかかり、南部の海岸線の街、標高415mの小高い丘の上にある。
アルベロベッロとはイタリア語で「美しい木」という意味らしい。とんがり屋根の住宅はトゥルッリと呼ばれる、ただ石を積み上げたもの。当時ナポリ王国からの税金が、家屋敷の規模に応じてかかった。調査の際、この積み上げた屋根をそのたびにはがし、財産を小さく見せた、 苦肉の策であったのです。当時も変わらず、庶民の税金対策、今もって税逃れの庶民生活、何百年前からその様な世の中の様子、変わらないものだと感心させられます。
その名残りの街の風景、とんがり屋根の街並みは、どこから見ても可愛いい。すべての家は観光客相手のお土産物屋さん。世界中でここしか見れない光景、思わず笑みがこぼれてくる、そんな穏やかな、安心を感じる街なのです。街の中心広場、朝は市場が開かれ、夕方になると、おしゃべりに街の人が集まり、大井戸端会議の場所と変わります。集まった皆様は、延々とおしゃべりに時問を費やすのです。南イタリアの外れた場所、中心ヨーロッパとはどこか違う、のんびりの雰囲気を満喫して、帰路についたものでした。
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