私と證大寺との出会いは、今から約25年前・当番期の東京錦陵会総会・懇親会の場で、先代井上住職(豊津高校の先輩)から声を掛けて頂いたことがきっかけです。出身地が同じ犀川町であること、また私の兄と同級生であること等で、とても懇意にさせて頂き、何回か食事会に誘って頂いたこともありました。
その後まもなく住職が肺癌で急逝、通夜・葬儀、その後のお寺の運営等では三菱銀行の先輩にお願いし多少のサポートをさせて頂きました。
しかし、その時まさかお寺で働くことになるとは思ってもいませんでしたので、銀行員生活、サブコン生活を卒業しサラリーマン生活に終止符(63歳)を打つつもりでいた時に、現 證大寺井上住職と大坊守(先代住職の奥様)からお声を掛けて頂いた時には、お寺のことは何も分からない自分に、少なからず抵抗もありましたが、あれから既に10余年が経過、現在は顧問としてお世話になっております。
四半世紀前に同郷・同窓の先輩である先代の井上住職と偶然に出会い、それが現在までつながっていることに、まさに“ご縁”というものの不思議な力を感じます。
證大寺は約半世紀前に福岡県京都郡みやこ町犀川続命院にあるお寺を東京へ移設。その後数年を経て、本坊(江戸川区)、船橋別院・昭和浄苑(千葉県)、森林公園別院・昭和浄苑(埼玉県)を開場し、現在お坊さん・職員を併せて50余名で1万基以上の個人墓と3か所の永代供養墓(浄縁墓)、樹木葬を管理、これに伴う葬儀・法要等が主な事業内容で、特に土曜日・日祭日は多忙な毎日です。
近年、家族構成の変化と時代の流れから個人墓から永代供養墓・樹木葬墓(一時金のみで管理料なし)のニーズが高くなっております。
また今年に入りコロナ禍での対応で、證大寺でもオンライン法要を導入、顧客ニーズの変化に追従しつつあります。
「證大寺」訪問記 (広報部)
古門さんに同伴して「證大寺」の“江戸川 本坊”を訪ねたのは10月の末、晩秋の頃だった。一片の雲もない真っ青な秋空の下、季節外れの陽気に汗ばみながら、都営新宿線「一之江」駅からタウンウォーク気分で向った。
歩くこと10分。辿り着くと「法輪山」の看板が掲げられた趣のある山門に迎えられた。閑静な住宅街の一画に建つが、敷地に沿った道の反対側には、かつては金魚の養殖池がいくつもあったそうだ。
境内には本堂を擁する建物があり、奥手には個人墓が並ぶ墓地が広がっていた。墓地の中へと進むとささやかな広場があり、中心に石彫が据えられている。かのイサム・ノグチとも活動を共にした石彫家・和泉正敏氏によって手掛けられた、「 浄 縁 墓 」という永代供養墓だ。
毎朝8時半からの本堂での朝勤行のあと、続けて浄縁墓の前でもそこに眠る亡き人びとを供養する読経が行われるという。時折立寄って、花弁のように並ぶ石に腰掛けて故人を偲ぶ方も少なくないそうだ。
墓参に訪れる家族連れとすれちがいながら、阿弥陀如来、薬師如来、観世音菩薩が安置された本堂へ移動した。
この日の訪問に合わせて時間を割いてくださったご住職からお話を伺うことができた。ご本尊に読経を捧げたあと、同窓の先輩でもある先代住職のことから始まり、承和二年(西暦835年)、大宰府に建立された「続命院」という看取りのための坊舎が発祥という由来や歴史、そして宗派を問わず誰もが“仏教に人生を大切に学ぶ”ことができる「仏教人生大学」の開校など様々な最近の取り組みについて。
いずれも興味深く拝聴したが、中でも印象的だったのが「手紙参り」だ。證大寺は「手紙寺」とも称して、船橋 別院に「手紙処」を設けている。お身内を亡くされた方が、変わることなく大切な故人に向けて手紙を書くことで故人と語り合ってつながりを深め、心を整えるための場所だという。
そして、墓の有無にかかわらず、誰もが大切な故人に向けての手紙を書くことができるのが「手紙参り」。故人への手紙を書き、船橋 別院の「手紙寺 お焚き上げ」宛てに送ると、供養のあとにお焚き上げされ、したためられた思いが故人へ届けられる、という流れだ。
「宛てのない手紙」ではなく、故人への思いを昇華してもらえる手紙を書くことで、心の安寧が得られる。「『死』と『生』を超えて届く郵便システム」。とてもやさしく、残されたものに寄り添う取り組みだ。専用の「手紙参り」セットも用意・販売されている。
ご住職からは「證大寺は犀川から東京に移設されたもの。京築に郷里を持つ方々にとっての拠り所とも思っていただければ」という旨のお言葉もいただいた。東京には、すでにいくつか大切な京築の “飛地”があるが、「證大寺」もまたそのひとつであると思った。
合 掌
◎證大寺 WEBサイト: https://shoudaiji.or.jp/
〈江戸川 本院〉 東京都江戸川区春江町4-23-1
〈船橋 別院〉 千葉県船橋市大神保町1306
〈森林公園 別院〉埼玉県東松山市大谷196
*「手紙参り」セットは、手紙寺窓口や手紙寺WEBサイト、Amazonで購入可能。
取材/ 門田、大森、平塚 文/ 平塚 撮影/ 大森
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