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「コラム」 世界ぶらり旅(第2回)

合田隆実(昭和32年卒)



統一前のドイツ


 1989年、東西ドイツが解放される前、数回お客様を案内、ベルリンを訪問した。ドイツ航空がベルリンに飛べない時代、アメリカの飛行機で、ベルリンに飛んだことが記憶にある。

 厳しい検問を受けながら、1日だけのビザが発給され、専用のバスで検問所(チャーリーチェックポイント)を通過する。その際バスの上、車両の下まで大鏡を差し込み、逃げ出す人がいないか検査する。数年前まで、東から脱走する人の射殺記念碑が数多く壁の前に並ぶ。見る人は胸をいためる。検問所の向こう側、ソ連兵の冷たい目、疑い深い態度にさらされながら、東ドイツの観光に1日を費やす。こんな時代もあった。

 有名なプランデンブルグ門の側、通過のボイントは、今記念の観光地として人が集まる。壁は跡形もなく消えている。当時壁を壊す仲間に参入、お土産に持ち帰ったことを思い出す。我が家にも小さなかけらが、どこかにあるはず。

 東ドイツでの1日、当時ソ連製のガタガタ車、まずいビール、まずい食事、ただ古い歴史的建造物、史跡などは東ドイツを忘れさせるほど素晴らしい。統一後の今でも、この観光地、世界的な史跡などは、当時の東ドイツである。

 冷戦の時代も終わり、平和な世の中が訪れても、まだ世界のどこかでいさかいは絶えない。この先安心の世の中が続きます様に、祈らずにはいられません。もうあれから30年。


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◎連載エッセイ「世界ぶらり旅」バックナンバーURL

 ・第1回

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